映画「バケモノの子」を見てきた。(ネタバレあり)

映画本編の内容に触れている部分があります。これからご覧になる方は、

映画観賞後にお読みになられることをオススメします。

少々長めです。お時間のあるときにゆっくりどうぞ。

 

 

 

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ひっさしぶりの映画館。子どもが生まれる前に見た最後の映画は

確か宮崎さんの「風立ちぬ」だったよなと思っていたんですが、

昨日思い出しました。モモさんが実家に帰省しているときに

一人で劇場版のまどかマギカを見に行ったことをw

なので、大体1年半ぶりになりますね。

映画館復帰1作目は、細田守監督の最新作「バケモノの子」に決めました。

 

 

■ 全体的な感想

わかりやすいテーマを、しっかり、ストレートに、丁寧に描いていて、

観賞後はとても爽やかな気持ちで劇場をあとにすることができます。

大人から子どもまで幅広く楽むことができるエンターテイメントに

仕上がっているなぁと感じました。王道と呼んで差し支えないと思います。

最近はしっかりとターゲットを見据えた作品が多いですから、

こういった映画は逆に珍しいと思うんです。

 

 

■ 九太パートと蓮パート

映画は大きく2つのパートに分けられると思います。

前半はバケモノたちの住む渋天街に迷い込んでしまった幼い九太が、

熊徹たちと過ごす中で成長していくプロセス。

 

後半では、ひょんなことから人間界に戻れてしまった蓮(=九太)が、

一人の少女と出会い、それまで欠けていた「学」を欲することで、人間として

生きていくために必要なものを手に入れていく過程が描かれます。

 

生き方も、学ぶことの優先度も順番も何もかも違う人間界とバケモノ世界。

ここに、九太=蓮がそれぞれの世界で名前を使い分けた理由が

あったのではないかと感じました。そして「剣」と「本」という

2つのアイテムが、それを象徴するものとして描かれていました。

 

幼き日の九太を象徴するものこそ「剣」。熊徹が怒鳴りながら教えていましたね。

「心にある剣」。この場合、譲れない信念や曲げることのない己という意味で

問題ないと思うのですが、そういう抽象的だけど大切なものが剣に例えてありました。

 

青年となった蓮には、学の象徴たる「本」がそのモチーフに。

「白鯨」をチョイスしたのは作劇上の都合かもしれませんが、最終決戦前に

楓に預けようとした場面からも、彼にとってかけがえのないものになっていたと

読み取ることができます。

 

渋谷決戦のラスト、九太を救うために「剣」となった熊徹を、

人間界の蓮として、楓の前でその胸に受け入れます。

そしてエピローグの渋天街に戻った九太は、人間界から呼ばれてやってきた

楓から、蓮の象徴である「本」を九太として受け取っています。

 

この一連の流れは、誰かに寄り添われて生きていく子どもと呼ばれる存在が、

少ない選択肢の中からでも、自分が必死につかみ取ってきた経験と過去を

胸の中に大切にしまって、前を向いて生きていく「大人」と呼ばれるものに

成長していくシークエンスを、わかりやすいモチーフを使って描いている

非常に素晴らしい演出であるなと思いました。

 

 

■ 父親であるということ

今作を見たいと思ったきっかけの一つとして、息子が生まれた

細田監督が、母親を描いた前作「おおかみこどもの雨と雪」に対して

父親を描いた作品を作りたいとおっしゃっていたというのがあります。

息子を持つ男性にどのような映画を見せてもらえるのかと、ボク自身が

まさに父親を体験している最中であるので、とても楽しみにしていました。

 

そしてボクがこの映画から感じたものというのは、「父親としての在り方」

などという都合のいい教科書のようなものではありません。

父親が生きていくということのすべてを伝えられるなどと

「おごるな」というニュアンスに近いものがありました。

 

子どもは生きていく中で、それこそ父に近い存在を見つけることもあろうし、

師と呼べる人、友人、好敵手、そして自分に悪意を持つ人間と接することで

多面的に物事を見れる大人になっていくのだと。

そのすべてを、父親一人から吸収できるはずもないんですね。

じゃあ父親は何をどうすればいいのか。

それは熊徹や、蓮の父の言動の中に、優しく乗せられていました。

とてもストレートな表現でしたので、見た人にはきっと伝わっているのでは

ないかと思います。

 

 

■ アニメの多様化と王道

映画的な細かい部分でいえば、例えば楓の登場や絆の深まりが少々唐突であったり、

一郎彦の暴走モチーフの鯨への説明不足であったりと、

大きく広げた風呂敷に対してあまりに時間が足りないなと思うところはあります。

1クールの連続アニメだったら、また違った感想を抱いたかもしれません。

 

ですが、多様化の進むアニメコンテンツの中で、王道アニメ映画がヒットする土壌が

今もちゃんと残されているというのは素直に嬉しいです。

もちろん、ポストジブリ的な商売としての祭り上げられ方で

細田監督が急激に持ち上げられているのかもしれませんが、

個人的にそれはそれで良いのではないかと思っています。

露骨な販促もありますが、それはもう現代ならではってことで。ミスチルとかねw

ミスチルは興行的に非常に貢献度高いですし、ボクも大好きなので嬉しい抜擢でした。

 

久しぶりの映画館での観賞でしたが、大変有意義な時間となりました。

今さらボクが薦めるまでもないでしょうが、見に行くか迷っている方にはぜひとも

劇場で見ていただきたいなと思えるアニメ映画です。

相変わらず美術も素晴らしいので、オススメですよー。

 

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